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先生が顔を近付け、
唇が優しく頬に触れた。
「今度こそ、おやすみ」
「…ん…おやすみなさい…」
先生の腕枕が心地よくて、
…わたしは自然と目を閉じた。
この長い卒業式の夜が明けたら、
二人で迎える初めての
朝がやって来る。
わたしの初めての恋の相手は、
先生で。
初めてのキスも、…先生。
…わたしの初めては、
これからも全て先生で。
…そしてきっと、
最後の恋の相手も、先生…。
「寝たの、椎名」
遠くで、優しい声がする。
眠りに落ちる寸前のわたしは、
何とかいいお返事を
しようとしたけれど、
…ふにゃ、みたいな
ヘンテコな声しか、
出せなかった。
先生のくすくす笑いが聞こえる。
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