其の二

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「うん!御察しの通り、君らはもう生きてるものじゃないね!」 花畑がさわさわと揺れた。 ここに来て始めての風の感触。 なぜ、満面の笑み?ちっと、腹立つ。 「そっ、かー」 他人から事実を告げられることによっての、実感。 ちょっとだけ、ちょーっとだけね? 夢なんじゃないかな?って、 あいつも浮気なんかしてなくて、 私らも生きてて、 本当は今までどうり、四人で幸せに暮らしてるんじゃないかなっ?って。 期待してる自分がいた。 どうやら夢物語だったみたいだけど…… 「おかさーん!なんでないてるの?」 「げんきだしてぇ?」 いつの間にか起きていた双子に励まされる。 気づかなかった……… わ、私………バカだ。 そうだよ、この子らも…………… まだたったの5歳だよ? まだ5年しか生きてないのに。 命を奪われた。しかも、父親に……… それなのに私、自分の事ばっか。ホント、バカ。 「ママ、いたいいたい?いたいいたいのー、めっっ!」 「おかさん!みてみてっ!へんなおかお~」 屈託のない笑顔。 無邪気で可愛い双子。 泣いているお母さんを必死に励ましてる。 なんでこんないい 子に育ったんだろ? きっと、お母さんがダメだからしっかりしてるのかもしれない。 じゃ、お母さんもしっかりしなきゃだね。 自分を責めてるだけじゃ、前に進めない。
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