其の五

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『ガサガサガサガサガサガサ』 うわうわうわっ! 近づいて来てるよ? もうちょっとで背後に来ちゃうよ!? 本当はここから出ればどうって事はないのだが、それは私のプライドが許さない。 ビビって逃げたら捕まった。なんて間抜けな理由で鬼になったら、恥だ、恥。 それにきっと、犬か猫だよ!うん! そんな事を考えて現実逃避しても、こちらに近づいて来る“それ”の音は止まない。 先程よりも音は一段と大きくなっている。 音が、止まった。 あ、う、しろ……………………? 背後には確かに温もりがあり、“それ”は思っていたよりも大きかった。 どう考えても犬猫と言える大きさじゃない。 人……熊?………………………生きて、る…………………? え………瀕死……………………? 「お、い?」 しゃべったぁぁあ!幽霊!? 怖っ!やっ!!怖ぁーーーっ!!! 「っひゃぁうぅぅぅう…………!!……………………むぐむぐ」 「うわっ!悪いっ、静かにしてくれ…………!」 思わず出てしまった悲鳴(?)は背後の“それ”によって強制的に遮断された。 どうやら大声を出されたら都合が悪いらしい。 幽霊!?人攫い!? 私!人質!?
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