其の五

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「聞こえなかったんですか?第一印象です、第一印象!」 「へっ、あ、はぁ……………?」 ぷっ、間抜け面ァ!! どうやら藤堂似の変態藤堂さんはよく意味が理解できていないらしい。 別に変なこと入ってないと思うけど…………ねぇ? 「あ、いきなりすいません。私、第一印象で名字を当てるのが得意なんですよー」 実際、そんな感のよすぎる特技はありません。 「へ、へぇ…………感が良いんだ、な?」 ニッコリ笑顔。でも目が物語っている。“コイツ、可笑しい”と…………… “目は口ほどに物を言う” まさにその通りだ。 「えへへ、お世辞ありがとうございます!」 そう返すと変態藤堂さんは「お世辞じゃないよ」と、苦笑いをプレゼントしてくれた。 空には雲が増える一方、私たちの口数は減っていた。 そんな空気の中、誰かの足音が聞こえた。 誰か来る…………………? 「あ!瑠華いたっ!探したよ…………………って、誰?」 「ソレ」と、迎えに来てくれたそーちゃんは変態藤堂さんを見て首を傾げている。 そういや鬼ごっこの最中だったっけ?あれ?隠れんぼ? 「変態藤堂さんだよ」 「えっ?」 「だから、変態じゃないって!普通にと・う・ど・う!」 知ってるって! 別にちょっとふざけただけなんだから、大声出さんでええやん。 「藤堂さん…………って、どっかで聞いたような…………? あ、沖田宗次郎ですっ!」 「あ、改めまして、明日から試衛館に通わせて頂きます。藤堂平助です。」 ははは、藤堂と下の名前まで一緒とは…………………
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