其の五

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しかも試衛館って…………やっぱ二人とも…………… 「あ…………あぁ!近藤さんが言ってた人ですね!誰かの紹介で?」 「はい、伊東先生の紹介で!」 伊東………………今は大蔵さん、か。 名前を変えたのは上京する時だものね? 二人が雑談しているところに割り込む。 「二人とも、試衛館ってとこに行ってるの?……………ですか?」 変態藤堂さんもいるから敬語使わなきゃ。めんどー。 「うんっ!近藤 勇先生の下で天然理心流を学んでいるんだよ」 「俺はこれから、だけどね。」 「へぇ、剣術?いいなぁ…………ですね。」 おっと!忘れちゃいけない敬語だね。 「えっ?」 「は?」 私の言葉に反応したように、二人は顔に驚愕の色をにじませている。 「えっ?何?どしたの?」 日本語変になってた? 「いや、珍しいね……………剣術、楽しそう?やりたい?」 日本語のことはあまり気にしていないらしいそーちゃん。 それはどういう………………… 「うんっ!」 「剣術は簡単に見えて難しいんだよ?」 次は、難しそうな顔をした変態藤堂さんに言われる。 つまり、“甘く見てんじゃねぇ”ってこと、それとも“女子には無理だ”とでも言いたいの? あ、ごめん。今の被害妄想。 「うんっ!」 知ってる! 言えないけど。 そして満面の笑みでそーちゃんは、大きな宝石箱を私に放り投げた。 「じゃあ、行ってみる?試衛館っ」
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