其の六

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とうとう雨がポツリ。と来そうな天気の中。 私、陽生、柚湯、そーちゃんと並び歩いている。 その後ろには変態藤堂さん(以下、変態さん)がついて来ている。 横並びに歩くのはとても邪魔だ。 それは頭では理解していても、結構楽しく、また嬉しいものでなかなか止められない。 きっと前世(?)でもよく、こうやって歩いたから懐かしくて止められないのかもしれない。 そんな私たちは試衛館へと足を進めている。 隣の隣の隣で歩いているそーちゃんは気分がいいのか、今までにない位ニコニコとしている。 しかし逆に、私の背中にはまだ納得いかないというオーラがひしひしと伝わってきている。 そう、変態さんだ。 あの変態、まだ私が剣術を馬鹿にしていると思っているのか、 そーちゃんが提案した時も始終反対していた。 まっ、私としては“NO”なんて選択肢は存在してないけど! やっと剣術が出来るんだ! 大きな宝石箱を取り逃がすなんて、そんな勿体無いことはしない。 「ねぇね、どこいくのー?」 と、陽生。 「んー?剣術するとこだよっ!」 「ねぇちゃ、けんじゅちゅするのー?」 おいおい、舌が回ってないよ?かわいいなぁ、柚湯。 「うんっ!」
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