其の六

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「いや、五臓六腑って違うでしょっ!瑠華、おっかし~!」 「ねぃちゃ、ごじょうりょっぷ?」 「りょっぷちゃーん!」 ケラケラとそーちゃんは笑っている。 そう、これが普通の反応。 双子も何やら楽しそう。 正直言って、これの何がおかしいのかは分かんないけど……… 「えっ?ちゃうの?」 「ぷっ……………くく、違うだろっ!」 その瞬間、どこか重かった空気が弾けた気がした。 変態さんも笑ってくれてる。 目を細め、笑窪(えくぼ)を惜しげも無く窪ませる。 あ、あの笑顔だ…………………。あの頃の笑顔。 今までこれに、支えられて来たんだ。 これをまた見られるって、幸せすぎる……………… この笑顔が見たいから、この笑顔に、少しでも近づきたかったから。 「えーじゃあ、第六感?」 私は戯(おど)けて、生きてきたんです。
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