其の二

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あいつと出会ったのは高1のころ。 引っ越して来たばかりの私が、クラスに馴染めず独りなのを見て話しかけてくれた。 「君さ!どこ中出身??俺はね!」 すっごく、嬉しかった………… それから周りに溶け込むように、 友達の輪が広がって、 自然と笑顔の毎日に変わっていた。 それから1年ほどたったある日。 街灯もない、畑ばかりの道。 もう慣れた通学路で帰路についていた。 そう、“もう慣れた”と浮かれていたんだ。 「ふっ、んんん…………!?」 「ははっ、ちょっとおとなしくしてろよ!!」 「痛っ!!おい!こっち押さえろ!」 「暴れんな、よっ!!」 「へぇ、美少女じゃん!w」 「ラッキーww」 いきなり、見知らぬ男達に囲まれ、 襲われていた。 気がついたら朝。 あの状態で、どうやって歩いたのか、 家の中であいつに抱きしめられていた。 「ごめん、ごめんな……… 助けてやれなくて……」 あいつは泣いていて、 気がつくと私も、泣いていた。 大声をあげて、子供のように。 男達に何をされても、必死に抵抗だけして、 泣くことはなかった。 泣いたら負けな気がしたから。 でも、限界だった。 あの時の恐怖が溢れて、 零れおちる…………
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