其の八

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試衛館に通い始めて早数ヶ月。 あんなにギラついていた太陽も最近は大人しくなり、秋っぽさが漂う季節となっていた。 試衛館の人達はみんないい人ばかりで………………と、言いたいところだが、 やはり私をよく思わない人も少なからずいるわけで。 陰口を囁くものもいれば、わざと聞こえる声で私に罵声を浴びせたり。 しかし、大体内容は同じで「女子のくせに………」「すぐ挫折するだろ………」と、 口を揃えていた。 初めこそ落ち込んだ私だが、最近では馬鹿らしくなってしまい開き直った。 てか、同じことしか言えないの? 聞き飽きたよ?女々しいよ?いい加減うざいよ? 同じ話しかしなくてつまんなくないの? それとも同じこと繰り返してること分んないの? 認知症なの?老化現象? いやいや、その年からやばいって……………専門の医師に診てもらうことをお勧めします。 とりあえず、そろそろ限界だった。 「おい、女!もう疲れたのか?」 誰が雑巾がけなんぞで疲れるか、眼科に行った方がいい。 「これだから、女子はダメなんだ…………」 てめぇ、全世界の女子を敵に回したぞ。後ろから刺されても知らねー。 「家で母ちゃんの乳でもおとなしく飲んでなぁ!ってな!はははっ」 もうそんな年じゃないんすけど、あんたは十五まで乳吸ってたのかよ?ああん? 『プツン………………………………』 何処かで何かが切れる音が聞こえた。 「うーるーせー!!!」 「うわぁ!?」 「なっ、なんだ!?」 人が黙ってりゃ好き勝手言いやがって…………… 「あんた達さぁ、うるさいの!!こっちは家事に育児に剣術に……って、疲れてんだよ!!」 罵声を浴びせていた奴らは、突然の反撃にポカーンとしている。 そりゃそうだ、今まで静かで大人しかったやつが怒鳴ってるんだから。 「だいったい、いい大人が恥ずかしくないの!?弱いものいじめして何が楽しいわけ!?」 「こっちは全く楽しくねぇんだよ!!!」 と、決め台詞を吐き逃げた。 あぁ…………………………………スッキリ!! こんなに気持ちいいんなら早く言ってやればよかった。
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