其の八

5/16
前へ
/80ページ
次へ
「ほ、ほら!瑠華!“藤堂さん”って言ってみろ、な?」 「いや、無理だろ………………」 失敬な!それくらい言えるしっ! 「………………藤堂さん?」 「おおぉ!よくやった!瑠華!偉いぞ!」 座り込んでる私に合わせしゃがみ込む変態さん。 なぜか頭を撫でられる。 ふぅむ、なんか安心するなぁ…………… でもこれって、子供扱いじゃないでしょうか? 「じゃ、じゃあ!俺のこと、“兄上”って呼んで御覧なさい……………?」 「そこ、“お兄様”じゃね?」 オバ様風の言葉使いを語尾につけながら、恐る恐る近づく永倉さん。 と、突っ込む原田さん。 「オバ様ー!!」 「ちっげぇぇえええ!!!オジ様だろ!!男だろぉ!?」 「はい、オジ様!」 「よし!いいぞ!これからはオジ様って……………」 「新八ィ、“兄上”がどっか行ってぞ?」 「あぁぁあ"!そうだ!“兄上”だ!“兄上”!!」 忘れてたのかよ! 「ぱっつぁん、煩い! 俺は今、当たり前の幸せに浸ってるんだ!邪魔しないでくれないか!?」 変態さんも十分煩いけどね。 てか、どんだけだよ!いや、いじめ過ぎたかな? これから藤堂さんって呼ぼっかな?ちょい可哀想だし。 いや、でも当たり前の幸せに気づけて良かったじゃない。うんうん! あ、そういえば………………… 「藤堂さん、なんか用があった?」 尻もちついた時話しかけよう(?)としてたような…………… 「と、藤堂さん………………!!……………あ、話し!あぁ!!あったあった!」 しばらく感動した後、藤堂さんは元に戻った。おもしろーい……… やっぱあったんだ? 「どうしたの?」 「なんだぁ?平助ェ色っぽい話かよ?」 んなわけあるか! 「そうなのか!?平助! 俺の目が黒いうちは瑠華はやらねぇ!!」 嗚呼………………まだ兄上やってるの、永倉さん……………
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!

70人が本棚に入れています
本棚に追加