其の八

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お昼時、お台所でおつねさんと共に昼餉の用意をしていると、腹をさすりながら永倉さんが顔を覗かせた。 稽古後でよほど腹が減っているらしい。 「瑠華~、おつねさ~ん、今日の昼餉は何だぁ?」 「今日はほうれん草のお浸しと豆腐とワカメの味噌汁、米ですよ」 おつねさんがにこやかに答える。 丁度茶の間へ昼餉を運ぼうとしていたところだ。 永倉さん、ナイスタイミングだよ! 「永倉さん、いいところに!これ茶の間に持ってってください!」 「えぇ~、めんどくせぇ~」 持って行ってくれた方が早くご飯食べれるってのに! 頭弱いなぁ………… 「兄上、持って行ってくださいませんか……?」 「茶の間でいいのかっ?妹よ!」 「えぇ、お願いします」 「ぱっつぁん、単純だな…………」 「瑠華ちゃん、俺らも手伝うぜ?」 これまた丁度いいところに顔を出したのは、呆れ顔の藤堂さんと原田さんだ。 どうやら手伝ってくれるらしい。 いっやぁー、思ったより早く昼餉が食べれそう! お腹ペコペコだったんだぁ! 「ありがとうございます!あっ、藤堂さんはこっちを持って行ってね!」 「ああ!また戻ってくるよ」 「そうしてもらえると助かるー」 藤堂さんは笑顔で頷きながら廊下へ消えた。 「今日は早く食べれそうね」 「そうですね!もぅ、お腹ペコペコです!」 「ふふっ、私もよ」 それから何往復かしてやっと茶の間に運び終えた。 もう幾らか門下生たちは集まっている。 あとは…………あれ?土方さんいないや。 めずらしい、いつもは必ずいるのになぁ。 近藤さんにそのことを尋ねると、 「あぁ、歳は用事で外食するらしいよ」 とのことだ。 用事か、じゃしょうがないね。 「じゃあ、つねと瑠華ちゃんに感謝を込めて、いただきます!」 『いただきます!』
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