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お昼時、お台所でおつねさんと共に昼餉の用意をしていると、腹をさすりながら永倉さんが顔を覗かせた。
稽古後でよほど腹が減っているらしい。
「瑠華~、おつねさ~ん、今日の昼餉は何だぁ?」
「今日はほうれん草のお浸しと豆腐とワカメの味噌汁、米ですよ」
おつねさんがにこやかに答える。
丁度茶の間へ昼餉を運ぼうとしていたところだ。
永倉さん、ナイスタイミングだよ!
「永倉さん、いいところに!これ茶の間に持ってってください!」
「えぇ~、めんどくせぇ~」
持って行ってくれた方が早くご飯食べれるってのに!
頭弱いなぁ…………
「兄上、持って行ってくださいませんか……?」
「茶の間でいいのかっ?妹よ!」
「えぇ、お願いします」
「ぱっつぁん、単純だな…………」
「瑠華ちゃん、俺らも手伝うぜ?」
これまた丁度いいところに顔を出したのは、呆れ顔の藤堂さんと原田さんだ。
どうやら手伝ってくれるらしい。
いっやぁー、思ったより早く昼餉が食べれそう!
お腹ペコペコだったんだぁ!
「ありがとうございます!あっ、藤堂さんはこっちを持って行ってね!」
「ああ!また戻ってくるよ」
「そうしてもらえると助かるー」
藤堂さんは笑顔で頷きながら廊下へ消えた。
「今日は早く食べれそうね」
「そうですね!もぅ、お腹ペコペコです!」
「ふふっ、私もよ」
それから何往復かしてやっと茶の間に運び終えた。
もう幾らか門下生たちは集まっている。
あとは…………あれ?土方さんいないや。
めずらしい、いつもは必ずいるのになぁ。
近藤さんにそのことを尋ねると、
「あぁ、歳は用事で外食するらしいよ」
とのことだ。
用事か、じゃしょうがないね。
「じゃあ、つねと瑠華ちゃんに感謝を込めて、いただきます!」
『いただきます!』
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