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「そーちゃんさぁ、お野菜は食べた方がいいよ、ガチで」
新撰組の沖田総司、労咳で亡くなることでも有名だ。
そーちゃんの労咳を絶対に防ぎたい。
大切な人たちを守りたい、今までのようなもどかしい思いで涙は流したくない。
出来るならば一人でも多く、助けたい。
労咳の治し方も予防も、正直言うと分かんない。
けど、体調はいつもベストでいれば助かる確率も格段にUPするはずだ。
これが今、私に出来ること。
「がち………?」
「……あー、本当に!ってこと!てか食べなさい!」
「そう、瑠華ちゃんの言う通りだ」
近藤さんが頷く。
三馬鹿ですらいつもとは打って変わり、真面目な表情で頷いている。
そのことから、日頃そーちゃんの野菜嫌いを心配していることがよく分かる。
「宗次郎はもっと野菜を摂った方がいい、偏りのある食べ方は体に悪いぞ?」
「近藤さん…………」
「それにね、野菜には一杯栄養が入ってるの。
食べてれば病気とか防げたりするんだよ?」
ホントかよという目でそーちゃんが見てくる。
何だよ、その目は。失敬な。
そこで山南さんが口を開く。
「宗次郎、どうして野菜が苦手なんだい?」
まるで童に問いかけるような優しい声色。
流石、未来の“仏の総長”。
そーちゃんの失礼な態度でさえ忘れてしまいそうだ。
きっとこの人のこういう優しい所が、生まれ持った性格であり才能なのだろう。
「だって……苦いじゃないですか……」
こちらはまるで、言い訳をする童のようだ。
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