アルケミストのお見舞い

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「ヴィン、終電無くなったから泊めてー」 出ました、エロ師匠。 王都に出てきてはヴィンのところへ転がり込んでます。 あちこちのお姉さんのところを泊まり歩いて、修羅場になったら戻ってくる。 「仕方ないですね」 「あっれー、優しいじゃんヴィン」 「お年寄りには親切にしないと」 バチバチと火花が散る。 「ナニこの美味そうなの。もーらった」 「ダメですよ!それはダビーさんに送るんですからっ!」 「お?女に貢ぎ物か?生意気に」 師匠が面白がって箱を抱き抱える。 「そんなんじゃ!」 とうとう白状させられた、 お世話になっている図書館の司書さん、 ダビーさん。 いつも探している本と、似たような本をさり気なく見つけてくれるお姉さんだ。 ヴィンが緊張せずに会話できる数少ない女性である。 そのダビーさんがここ数日居なかった。 他の司書さんに聞いたところによると (筆談で) お母さんが手を怪我されたために、休みをとって故郷のオキャーモに帰省したらしい。 「......というわけで、薬と痛み止めでも送ろうかなって。」 「ふーん。 俺、オキャーモに納品する仕事あるけど、持って行ってやろっか」 師匠がニコニコしている。
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