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「うわああああっ」
叫び声と共に目覚めた。
もう忘れかけていた悲しい記憶。
肩を両手できつく抱いて、ただの夢だと自分に言い聞かす。
窓からは月明かり。
夜の髪に夜の瞳。
いつも黒いローブか白衣しか身に着けないがヴィンセントは神秘的な魅力をたたえた美しい青年なのだ。
右手が両生類なだけ。
手首から先が、ひんやりしている。
昔、気持ちのコントロールが出来なかった頃はフラスコやビーカーが張り付いて厄介だった。
慣れると試験管を指一本で持てるようになって中々便利......
いや、許すまじ師匠。
右手をカエルにした事もそうだが。
十七の時の淡い初恋を砕かれたことを。
久しぶりに夢でみて、怒りを再び燃やした。
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