アルケミストの初恋

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「はいっ」 マリアのきつい声に、声が裏返る。 「とにかくキスがしたいだけなの?」 したい。 ここは嘘をつくべきではない。 嘘はいけないと教会でも教えられた。 頷いた。 ぷるぷるとマリアが震える。 「ヴィンの馬鹿っ!!そんなにキスがしたいならカエルとしなさいよ!!」 ヴィンセント、17歳の秋に人生初の平手打ちをくらう。 「カエルと......カエルとキスしたって呪い解けないじゃないか。 呪いが解けたら、ちゃんと好きって言えるけど、こんな僕じゃ......」 「おーい、ヴィン、メシまだかー?」 ぐしぐしと布団にくるまって泣き続けるヴィンの上に、師匠(朝帰り酔っ払い)が飛び乗った。 「あー、もう、何もかもアンタのせいだ!!」 「え?ナニナニ反抗期来ちゃった系?」 「いちいち鬱陶しいなチャラオヤジ!!」 部屋の一部が焦げました。 投げられた食料品は、あとでホムンクルスが美味しく頂きました。
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