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『─もしもし』
電話口の俊輔の声は、低くこもっているように聞こえた。
「もしもし、わたし。亜優だけど」
『おう』
「元気?」
『うん、まあまあ』
「……あの、急に電話して、ごめんね」
『いや』
「……」
あまり嬉しそうではない様子に少しショックを受けていると、わたしの表情を見て心配になったのか、拓己が隣に並んで受話機に顔を寄せた。
拓己の栗色がかった髪が、受話器を持つ手をくすぐった。
「えっと……。あのね。
もうすぐ夏休みでしょ。
拓己とそっちに遊びに行きたいと思ってるんだけど、時間あるかな」
『……』
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