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「京急の快特に乗っちゃえばあっという間に品川だろ。 そこから山手線に乗って、もう一度乗り替えして、中央線? てやつで、……そこから三十分くらい?  ディズニーランドよりよっぽど近いって」 「……」  ─東京……。  テレビではよく見るけれど、実際はディズニーランドに行く時に通り過ぎたことがあるくらいで、まったく知らない街だ。  まだ小学生のわたしには、やはりとても遠い場所のように感じられる。  そして、……それはきっと俊輔にとっても、同じだ。 「あの……」 「ん?」 「……仲直りは、出来ないの?」 「うーん、たぶん、無理だな」  俊輔は困ったように笑って、 「父ちゃんが許すとか許さないとかじゃなくて、─母ちゃんが、そっちとくっつきたいみたいだから」 「……」
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