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─お母さん……。
じわりと胸が熱くなり、隣を見ると、兄の顔も感激のあまり紅潮していた。
「母ちゃん、やるじゃん」
「お母さん、……ありがとう」
母はにっこり笑って、隣に視線を移した。
「いいわよね? パパ」
「……もちろん」
父は真面目な顔で頷いて、
「聡子」
「なあに」
「改めて思ったけど、……俺、お前と結婚してよかったわ」
「……やだ、もう、パパ……」
母は顔を赤くして、父の背中をパシッと叩いた。
成長とともに、俊輔のお父さんから受け取るお米の量は増えていき、時には肉や野菜の差し入れも加わるようになったけれど、
今も変わらず、俊輔は週に三回ほどうちにごはんを食べに来ている。
そして、時間のある時はこうして兄やわたしの部屋でのんびり過ごし、いつも九時前にはアパートに帰っていくのだった。
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