慣性の法則

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「次っ神田(カンダ)!」 呼ばれて俺、神田武(カンダタケシ)が前に出る。 俺の前に立つのは、メリケンサックを着けた上官。 「それではっ始め!」 合図と同時に彼は俺に襲いかかった。 彼に能力は無い。 これは、無能力犯罪者に対応する訓練だ。 我々 『特殊物理無視人種捜査班』 (Special Physics Ignorance Race Investigation Team) 略して『SPIRIT(スピリット)』 は、通常の操作権に加え、『物理無視人種』俗に言う『能力者』及び『凶悪犯罪者』に対する能力使用制圧権のみ許されている。 その為、凶悪犯を除く無能力犯罪者に対しての能力使用は、防衛手段・追跡手段のみで、攻撃及び拘束の手段としての使用は許されていない。 この訓練は、無能力犯罪者が襲いかかってきた場合に、これらの規則に従って犯人を確保する訓練である。 俺は次々に繰り出される上官のパンチやキックを全て無効化しタイミングを見計らって腕を掴み、背負い投げをした。 そのまま腕に手錠をかけ、確保完了。 素早く上官から手錠を外し、彼が立ち上がるのを待ってから一礼して訓練が終了した。
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