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「綿津見大神加護給！」
光流は両手を上げて、自分を依り代にした。
すると光流自身と、そして式神たちを覆うドーム型の海水のシェルターが現れる。
放たれた稲妻はドーム型のシェルターの外を滑るように通電した。
「中将……それ以上、力を使うなって言ってるだろ！」
光流の目には、在原業平の魂が本田の身体からはみ出して見えた。
肉体の器に収まりきらないほど、力を蓄えた在原業平の魂は膨張している。
「器など壊れてもいいといっているだろう。それよりも藤原、そなたの方が力を使わない方がいいのではないか？」
在原業平は緋色の瞳で「クッ」っと笑った。
その瞬間、光流は地面に片膝をつく。
「藤原さん！」
「ダメです、三井さん！」
豊川の制止を振り切り、ゆき乃は光流のもとへ走り寄る。
「藤原さん、まだケガが治ってないのに！」
光流を支えようとするゆき乃を、光流は拒絶する。
口元から一筋、血が流れた。
「バカ、下がってろって！ 死にたいのか？」
光流を支えようと伸ばした手を、ゆき乃は止めた。
「死ぬって……それじゃ……自分の命は？ 藤原さんの命はいいんですか？」
瞳を潤ませて尋ねるゆき乃の顔を、光流はようやく見た。
「街と人とお前たちが助かるなら……惜しくはないかな」
「え……」
「お前が元気でいてくれるなら、命と引き換えでも中将を倒さなきゃ」
光流は少しだけ笑顔を浮かべた。
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