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都季は、妙児から「折角来たのですから、ついでに少し見ていきましょう」と、指南の見学をすすめられた。
ここに居た見習いは、小等教育を終えて高等教育に入った十一歳から十五歳の娘であった。
高等では、朝一に化粧の実技が行われている。
妙児は所用の為ここを訪れたことにしていたが、事実を言えば「ついで」と称した化粧の見学こそが、本来の目的であった。
広間には長座卓が等間隔に置かれており、見習いは五人ずつ、前から詰めて座していた。
彼女らの前には、妙児の化粧箱より一回り小さい杉の化粧箱が置かれている。化粧箱は蓋の裏に鏡がついており、それを立てて使用する物だ。
指南役の明光が「始めます」と一声発すると、彼女らは一斉に化粧箱の蓋を開けた。
「固油は手の温度で馴染ませてから顔に塗るんですよ」
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