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「この子に“受け”が出来るなら、私もちっとは楽になるんじゃろうけどねえ。
字を教えにゃならんなら……」
家母の口調は渋っている。
妙児はすかさず口を開いた。
「その心配には及ばないかと。
どうやら、都季は字が読めるようです」
思わぬところで自分の名が出て、都季は「え」と妙児に目をやった。
妙児と家母が何の話をしているのか分からない。しかし、家母が都季を見る目は、大丈夫だろうか、と言わんばかりの、人を疑っているものである。
都季は全ての字を知っている訳ではない。
ここは、あまり知らない、と事実を話した方がいいと思った。
「妙児さん、あの……」
「字を知っているのでしょう?」
妙児の冷ややかな声が、都季の言葉を遮った。
しかも、目の端で都季を睨んでいる。
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