セメタリー

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さすがに呆れたのか一同が溜息を尽き憐れなゾンビモドキを見る目には精細がなかった 「しょうがねぇなぁもー、とりあえず奥に下がれバカ共……始まったら隙を見て逃げろよ……兄貴、結界の解除頼みます」 レガが頷き荒野の硬くひび割れた土に刺さる青銅の古びた短剣に手をかけ、確認の為にもう一度顔を上げると 遅れてきた幸継のドカの音にピタリと動きを止め、他の者達も何となく幸継を待った 「遅ぇよ幸!!お前ケツだかんなぁ~!!」 やはりルーと同じように墓地の入口最前列に居たエイゼルが遅刻した幸継に叫んだ、一番後ろに並べという事なのだろうが幸継が構わず泥を跳ね上げながら横付け 「ぶわっ!!ペッ!!泥口に入った!!何すんだコラ幸!!」 「逃げろ!!早くぅ!!レガさんも!!……来たっ!!」 「どうした幸?なに慌ててん……だぁああああ!!行け幸!!Goだ!!出せぇええええ!!」 短剣を抜くために座り込んでたレガがいち早く危機を察知し幸継の後ろに飛び乗ると、幸継は振り返り夜空を見上げ有無を言わさずアクセル全開 「……んだよ?オバケでも出……たん…かぁっ!!退避!!総員退避ィイイイ!!」 叫んだエイゼルの顔をポカンと見つめ、全員が何があったかと夜空を見上げた 彗星の如く夜空を裂くニコニコ顔のカナタを確認出来たのは一瞬、そして死に対する恐怖が幻聴を来たしたのかハッキリとルーは聞いた 「みんなぁ!!カナタン飛ぶが如しだったぉ!!」 凍り付いた時の中、微笑みを浮べ手を振るカナタが墓地に、いや地表に大激突した瞬間を全員が確認した もちろん全員の脳裏を過ぎるのは衝撃波と巻き添え、潰れたカナタである やや離れた幸継がターンし向きを変えたと同時に真っ白い閃光が墓地を中心に荒野と夜空を白く染めた それは街からも確認出来る程の物で夕食の為にバーベキューをしていたアーティとピッピの箸が止まったらしい だが荒野は光が収まると半径12キロに渡り砂埃が完全に荒野を覆い隠し視界も0に近くなっていた 「カ…ナタ……カナタ~?……流石に生きてねぇかな……レガさん無事か?てかドコよ?……見えねぇ」 「なんとか、助かった幸……他の連中は無理だろうな……ヤベェな、メノさんに殴られっかも俺……」
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