パイドパイパー

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マズルカエリア ハイ エンシェント ラボトリー マズルカにありながら行ったことのあるギルド員は非常に少ない開発研究所、主に人間以外の種族がよく利用するらしいのだが、夜のこの場所を穴宮は気に入ってる 他の種族はラフレシアの住人と言えど規則正しい生活を送る者が多い為に夜はとても静か 噴水の心地よい水の音に月明かりの下にはラボを護る重厚なガーゴイル像が台座に忠犬の様に座って見下ろしている 何年か前に2体がラボ防衛の為に動いた時は本当に驚いた、石より硬い硬度を誇りながら野生の魔物の様な筋肉の躍動感は圧巻だった それを無傷で、いやスキルを発動し突っ立ったまま制圧した一番隊の隊長を見た時は手の届かない存在というものを惨めになるほど感じた 「こんばんわ、お疲れ様です……図書館へ」 「やぁ、いつも勉強熱心だね穴宮君は……」 「臆病者でして、それでは」 「良い夜を」 灯りの消えたロビー、大きなガラスが薄く青いオベロンの月明かりを取り入れ、暗くて困ることも無い 受付でホーネットを提示しホビットの老人に手渡された書類へサインすると穴宮は浮遊感を全く感じさせないエレベーターで5階へ ポーンと到着を告げるエレベーター、扉が開くとふわりと漂う紙とインクの薫り、そしてコーヒー 「やぁ穴宮……我々知識の門人をからかいに来たのかい?青瓢箪の頭デッカチと」 「俺らに言わせりゃギルドの奴らが野生のゴリラさ、食って寝て明日だ、ついでにクソしてか」 「どちらも違いない、調べものだよ……イタズラ坊主、ここでコーヒーは御法度だ」 フロアを丸々利用した図書館、そして6階も図書館なのだが床がなく吹き抜けの巨大図書館、6階から穴宮を見下ろし軽口を叩く研究員達は穴宮の馴染みなのだろう 「ホビットとエルフのジジィにイタズラ坊主か、そりゃいい……お前もやるかい?新しいチェス盤が来た」 「遠慮するよ……俺もイタズラ坊主に混ぜてくれ、ミルクはいらんよ……やぁワイズマン、ホムンクルスについて調べたい、案内頼む」 いつの間にか穴宮の足下に現れたのは穴宮の膝元までの大きさ、全身が茶色でゴリラの様な体型の粘土製のゴーレム、上を向いていた穴宮に気が付いて欲しくてクイクイと足を引っ張っていたが、直ぐにゴリラの様に走り出した 「ワイズマンは穴宮が来ると張り切るな」 「チェック」 「なんで取ったルークがそこにある」
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