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コーヒーを飲みながら期待せずに表紙を捲ると、薄茶色の白紙の真ん中に「素晴らしきゴーレムの世界へようこそ同志よ」と書かれていた
「比較じゃないのかよ……ゴーレムは間に合ってるよまったく……お帰りワイズマン、カブトムシなら逃げたぞ」
穴宮の隣の定位置、床に座り込み穴宮を見上げるゴーレムの頭を手を伸ばし撫で、パラリと捲る、著者 ウェルダン伯爵とだけ記されていた
「著者……伯爵ねぇ……」
エラく顕示欲と自信に溢れた著者名に苦笑いしながらパラリ、パラリとページを巡り、やけに片寄った結論に穴宮は笑ってしまった、ゴーレム贔屓ここに極まりと言ったところか
しかし書いてある事が本当なら著者はかなりのゴーレム製作者であろう、なんでもソフィアにもかなりの数のゴーレムを売ったとか
その他にも最早モビルスーツかと言いたくなるような装備のゴーレムなど、ダークマターを装備してるとは流石に言い過ぎだと思った、しかもソレを破壊されるなど飛んでもない損害だろう
穴宮は最後のページを読んだ、この本から得るものは無いと早々に諦めたのだろう
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結論から言えば、ホムンクルスなどと骨や呪いや馬糞や血液に唾液に髪の毛、ついでに雷といった偶然に頼る始末である
もはや動く汚物、汚らわしい事この上ない、しかも人型でしか造れないのだ、造る意味すらない
しかしゴーレムは違う、言うなればゴーレムこそ機能の追及された姿であろう、その(著名なゴーレムアーティスト)の作品はどれも機能美に溢れ無駄がない、そもそも何かの為に造るのであって無駄が存在する筈もないのだが
遥か昔、東洋の島国で見せられたホムンクルスには失笑どころか怒りすら感じた、人造生命を侮辱している
だから私は言ってやった
馬のクソが詰まった頭で考えた所で出来る事は馬のクソ集めか、とね
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「なんだこれ?ジョークのつもりか?下らん…………」
穴宮は本を閉じコーヒーを飲むとカップを返し、エレベーターまでワイズマンに見送ってもらいラボを出た
「よぉ……ちょっといいか?……付き合ってもらいたい所がある」
「ルー?どうした?」
「寝れなくてな……ホムンクルスに詳しい……人造生命体に詳しい奴がいてな、お前も話を聞いて貰いたい……裏街へは?」
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