パイドパイパー

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使用人達が表開きのクソ重そうな扉を押し開け中に踏み込み二人に一礼し奥へと進むよう手振りで促す 中はガラクタだとわかるがやけに宗教がかった物で溢れた部屋、壁をぶち抜きフロア丸々そんな感じに見える 床はガラクタとコードで敷き詰められ天井は夜の星々と紫色の月光 そのずっと奥に、小肥りな中年男性が後ろを向いて立っている 服装からすれば中世貴族のコスプレ、ブロンドで音楽の教科書に載ったんだぜ俺と言われても信じてしまいそうな佇まい 彼の回りには大きな、縁が青く光るサークル、その中だけはガラクタもコードも無い 「彼が?」 「そ、路地裏の神……預言者だ……もっともホログラフらしいけどな……言われないと全然わかんねぇが……」 確かに知らなければ彼を生身の人間だと穴宮も思っただろう、それほど精巧だと言えばいいのか、髪の揺れ具合など実にリアルだ 『ようこそいらっしゃいました……仮の住まいとは言えお見苦しい部屋で恐縮です……それでは続きといきましょうか……』 続き?と穴宮がルーに視線を送るとルーは首を傾げら 路地裏の神が振り向きサークルの中央まで、不意に夜想曲が流れ始めた 「これは……アンタ……何者だ」 『それはあまり重要ではありません……ホムンクルスについて、ですね?……あぁ、私は俗世に差ほど興味がありません故、他言はしませんよ、心配御無用』 「この人は特殊なんだよアナミー、ここから外に漏れる事は無い……けどホムンクルスについてだとどうしてわかった?」 『図書閲覧記録で危険思想を持つ者を探す事など何処の国でもやってます、何も珍しい事ではありません……ワイズマンは貴方によくなついていますね、私の持論で恐縮ですがゴーレムに好かれる人間に悪人はいません』 彼は二度ほど恐縮という言葉をつかったが顔は恐縮どころか薄ら笑いである、若干イラッとする男である
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