第一話 その男帰還にて

3/8
前へ
/24ページ
次へ
その時間も長くは続かない。そんなことはわかっているがとても名残惜しいものになっていた。 パンを食べ終わり、彼を見ると何かを感じているようで、遠くを見ていた。 すると、そこから人が慌ててきた。 「アラガミが近づいて来てるんだっ!! 助けてくれ。」 と叫びながら。 私とソーマは、自分の神機を手に取り、人が来た道を走り抜ける。 その道中にアリサ、そしてリンドウが駆けつけ、拠点の外に出るとアラガミの群れが、そこまで迫っていた。 小型種から大型種まで多様な種類しかも数が多過ぎる。 いかに、このメンバーが優れているとしても多過ぎる数には対処できない。 「こちら、第23拠点。アラガミ多数っ!! 処理限界数を超えているため応援をお願いしますっ!!」 アリサが無線で極東支部に連絡する。 「第一派来ますっ!! リンドウさんとソーマで前線を私とアリサで後方を担当しますっ!!」 了解っ!! 全員が同意し、駆け出す。 リンドウとソーマが逃した相手をアリサと自分で対処していく。大型種が数体こちらに向かい、神機を振り倒していく。 しばらくして半数ほど減ったかと思っていた時、アリサが倒れた。 「アリサっ!!」 私の呼びかけにも反応せず、アリサの元へ行こうとするとアラガミが迫ってくる。 それはアリサにも同じで1体のヴァジュラがアリサを襲おうとしていた。 間に合わないっ!! また、仲間を失うことになるのかと自分を責めようとした時、一本の神機が飛んできた。 その神機はアリサを襲おうとしていたヴァジュラに刺さり命を奪った。 その神機は毒々しい紫色をしていて見たことのないものだった。 「全く、人のためにやって、自分が死んだら意味ねぇのにな。」 この戦場に知らない声がした。 その声の主はアリサを助け、その元へと向かっていた。 神機を投げたことで素手になった彼は、アラガミを己の腕と足だけで道を開けていた。 無双。その言葉がうまく当てはまるほどの強さ。 彼はアリサの元へ着くと投げた神機を手に取り片手で持ち上げた。 自分が使っているショートを振りかざす様にバスターを振るい周りのアラガミを一掃していく。 「アリサを拠点の中に戻して来いっ!!」 名も知らぬ彼の言う通りに拠点にアリサを連れて行く。 その道は彼が開いてくれた。 アリサを拠点に連れて行き終わると彼と背中を合わせ前線へと向かう。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加