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とその時、うつろな瞳の
さゆりが俺の首に腕を回して
しがみつく。
「ひじ…り…さん?」
「…さゆり、しっかりしろ」
じっと俺の背中に
突き刺さる紗枝の視線を
感じていても、
俺は歩みを止める訳には
行かなかった。
自動ドアをくぐって
そのまま救命センターに
さゆりを運び込むと、
驚いた表情の草薙先生が
俺を見つめる。
「草薙先生、ロヒプノールだ。
溶液を注射されてるから
吸着型血液浄化器で除去しないと
たぶん無理」
俺の指示に草薙先生は
すぐさま機材を用意してくれた。
「伊吹先生、
あとは俺がやりますから」
草薙先生の言葉に安心したのか
俺はその場に座り込んでしまった。
…はぁー…キツイ。
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