親友

4/11
2092人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
透析を終えて 病院から出た頃には すでに時計の時刻は 8時を回っていた。 どんだけ俺、意識を なくしていたんだろうと 思いつつ松田先生と共に 二宮の自宅へと向かう。 「ドアが開いたら 一気になだれ込んで 俺が二宮を抑えつける。 聖は悴田を奪還しろ」 「わかってる」 緊張する指先で、二宮の部屋の インターホンを押した。 やがてモニターに 映し出されたのは 歪んだ笑みの二宮。 『伊吹先生の”すぐ”ってのは 随分と長い時間なんですね』 「すまなかった。 だけどきちんと話し合いたい。 …君に理事長を任せるから」 俺の言葉に口角をくっと 持ち上げた二宮は 『わかりました』と答えて モニターを切った。 同時に死角に隠れていた 松田先生がドアの横に待機する。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!