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透析を終えて
病院から出た頃には
すでに時計の時刻は
8時を回っていた。
どんだけ俺、意識を
なくしていたんだろうと
思いつつ松田先生と共に
二宮の自宅へと向かう。
「ドアが開いたら
一気になだれ込んで
俺が二宮を抑えつける。
聖は悴田を奪還しろ」
「わかってる」
緊張する指先で、二宮の部屋の
インターホンを押した。
やがてモニターに
映し出されたのは
歪んだ笑みの二宮。
『伊吹先生の”すぐ”ってのは
随分と長い時間なんですね』
「すまなかった。
だけどきちんと話し合いたい。
…君に理事長を任せるから」
俺の言葉に口角をくっと
持ち上げた二宮は
『わかりました』と答えて
モニターを切った。
同時に死角に隠れていた
松田先生がドアの横に待機する。
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