2092人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺は移植を受けて、
これからも伊吹総合病院を
守って行くつもりだ。
…理事長ではなく医師として」
それだけで二宮は
悟ったのだろう。
悔しそうに噛みしめられた
二宮の唇を虚しい思いで見おろし
俺はその場を去った。
こんな事をしなければ…
いずれ二宮に理事長を
引き継いでもらう可能性だって
ゼロではなかったのに。
さゆりを抱き抱え、
俺は急いで救命センターへと
足を進めていた。
時折ビクンと痙攣を起こす
さゆりに必死で呼びかけながら。
「さゆり、もう少しだから
我慢しろよ。
絶対にお前を助けてやる」
病院の駐車場を抜け
あと少しで入口に辿り着く手前。
ふいに感じた視線。
見つめた先には
呆然と俺とさゆりを見つめる
亜希ちゃんと…紗枝がいた…。
最初のコメントを投稿しよう!