プロローグ

4/4
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
朝食時も姉妹でどっちが先に俺を押し倒すだの誘惑して押し倒させるだの不穏な会話を繰り広げている二人を置いて家を出る。 高2の俺とは違って中3の萌恵は学校が近いという理由からもっと遅く家を出るし大学生の結衣姉さんは二コマ目からとの理由で家事をしてから家を出る。この意味、分かるよな? つまり通学中は俺はフリーダム!外敵などいな「恭介ー!」い事なんか無かったぜチクショー! 振り返ると長い髪をポニーテールで纏め、爽やかな笑顔と八重歯が眩しい美少女がこちらに走ってくる。 彼女は幼馴染みの吉永愛華(よしながあいか)。無論、俺の敵である。 一瞬、愛華の瞳が狩る者のそれに変わるのに気付いた俺は迷う事なく教科書でギチギチのカバンでガードするとカバンのむこうで「むきゅっ!?」と変な悲鳴が聞こえる。 「むー!恭介!ガードなんかずるいぞ!正々堂々と私に喰われて血肉となれよ!」 「はいそうですかってなるわけねぇだろ!物理的な意味で喰われるって分かってるのに!」 そう、このスクラッパーは俺を本当に喰おうとしている。昔コイツに首の肉を食いちぎられてからと言うもの、コイツが側にいる間は一切気を緩めることをしなくなった。 「いいじゃん!好きな奴ほど美味しいって言うし」 「言わねぇよ」 「でも昔喰ったお前の肉は旨かったぞ」 「あの後、俺1ヶ月入院する羽目になったんですけど?」 「ごちゃごちゃ言ってないで喰わせろ!」 「コッチ来んなリビングデッド!」 「なにそれ羨ましい」 こんなやり取りをしながら走って学校まで向かってるせいか足が速くなり今では俺と愛華は学校の陸上部でエースとなっている。この副賞が最初からメインだったらなと何度も考えたが現実は変わらないのでやがて俺は考えるのを止めた。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!