2章

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【2章】 「起きなさい、朝だよ」 わたしはベッドに腰をかけて、眠っている娘に声をかけました。 「うん、わかった」 と言いながらも、掛け布団を引っ張り、顔まですっぽり被ってしまう娘を見ながら、 (わかったなんて、わかってないじゃない) 心の中で、愚痴を言いながらも、そんな仕草が愛しく感じていました。 娘は、結婚して6年目に授かった子どもです。 同じ頃に結婚した友達は、すぐに妊娠・出産して、もう中学生のお母さんになっています。 娘は、まだ小学四年生……。 娘の友達のお母さん達に比べると、自分が若くない事を実感しています。 娘に恥ずかしい思いをさせないように、けれど若作りと言われない格好をするように心がけています。 娘に嫌な思いはさせたくないのです。 寝顔を見つめていると、愛しさが溢れてきて、ずっと見ていたい気持ちになります。 しかし、起こさないわけにはいきません。
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