第3話

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「田代君。奥さん、おめでたなんだって?」 トイレから出て通路を歩いていると、別の部署の係長に声をかけられた。 あまり面識もなく、会話らしい会話もした事がない。 やせ細り頭と同じように影が薄くて目立たない。一緒にチームを組んで連携し仕事をした事もない。 そんな上司とも呼べない程、遠い存在の上司に声をかけられた。 こういった話は、一部の人にしか話していないというのに、どういう訳か、見知らぬ輩にまで伝わっていく。 まぁ、その辺は新入社員でもあるまいし、さほど驚く事もない。 「そうなんですよ。まだ四ヶ月でどちらかはっきりしないんですけど」 別に性別なんてどちらでも構わない。五体満足産まれてくれれば、それで良い。
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