第七夜・満月

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 またこの日がやってきました。夜の王者月の光は空に満ち満ちてゆきます。邪悪で、蒼白いその顔を美しく輝かせます。黄金の月も、白銀の月も、この日またひとつとなります。  薄雲が月明かりを遮りました。次に姿を表したとき、月は泣いていました。闇の王が、その頬を濡らしていました。輝く雫は海に落ち、波間をたゆたって消えました。一部は水のきらめきとなり、また一部はあぶくとなりました。  光の粒から小さな声が溢れてきます。あのひとたちの声でした。月に見初められ命を落とした者たちの声でした。そういえば、私が最初に見たあの満月から、何百年経ったでしょうか。今宵私は月の糧となります。そして月の一部となり空を翔けるのです。 今夜のお話はこれでおしまいです。
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