730人が本棚に入れています
本棚に追加
「どーするー? とりあえず、サッカー部から行く?」
下駄箱から靴を出そうとしている日南子に、わたしは「待って」と声をかけた。
「わたし、……やっぱり、決めた。─吹奏楽部に入る」
「え」
驚く日南子ににっこり笑ってみせ、
「わたし鈍くさいし、人より時間はかかるかもだけど、でも。
……ゆっくりがんばる。
やりたいって思えたことだから」
「……ほんとっ?」
日南子は嬉しそうに顔を紅潮させた。
取り出しかけたローファーを靴箱に放り入れ、こちらに駆け戻ってくる。
「実はわたし、心の中ではもうほとんど吹奏楽に決めてたんだよね。
亜優と一緒とか、マジで嬉しいんだけど!」
そう言って、わたしの手を取る。
最初のコメントを投稿しよう!