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 わたしと目が合うと彼女は軽く微笑んだ。  栗色のふわふわな髪と、それに負けないくらいふわふわな笑顔に、一瞬見とれる。  ─保健委員の子かな。  消毒液の匂いが微かに鼻をかすめ、反射的に拓己の肘に貼られた真新しい絆創膏が頭を過よぎった。 「わたし、クラリネットかフルートがいいなあ。 ─あ、サックスも捨てがたい。 亜優は? 希望パートとか、ある?」  廊下を進み、角を曲がるときに振り返ると、昇降口に向かっていく彼女の後ろ姿がちらりと見えた。
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