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「亜優、これ」  顔を上げると、拓己が膨らませたばかりの大きな浮き輪をふわりと投げた。  絶妙なコントロールでわたしの首に引っかかり、輪投げの輪のようにくるんと回る。 「ナイスコントロール!」  日南子が拍手すると、すでに歩き出していた拓己が後ろ姿のまま親指だけ立ててみせた。 「へえー。あいつら、めっちゃいい体してんねー。さわりたい」 「やめなよ日南子、おっさんみたい」 「ちょっとっ、性別。せめておばさんて言ってよっ」  笑いながら脱ぎ捨てられた服を軽く畳んでいると、海の方から俊輔たちのものらしき悲鳴が聞こえてきた。  思ったより水温が低かったのか、ザバザバと水を掛け合い、声を上げてはしゃいでいる。
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