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ビニールシートの上でくるりと向きを変え、周りの目を気にしながら遠慮がちにTシャツを脱ぐ。
日南子ほど大胆ではないが、自分なりに精一杯の勇気を出して買った初めてのビキニは、やはり少し恥ずかしかった。
肩までの髪を緩くねじってクリップで留めたところで、ヌルヌルと湿った感触が背中に触れる。
「亜優ー」
「ん?」
「亜優ってさー、どっちが好きなの?」
何のことか一瞬考えて、
「ああ、……。うーん、そうだなー。
わたしはどっちかって言うと梅干しの方が……」
「ちがうよ」
日南子は笑いながら、いつもののんびりした口調で言った。
「和久井と、二ノ宮。─どっちが好きなの?」
「……」
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