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「だってピアノの伴奏も点数に響くんでしょ?  あんな下手くそなピアノじゃ減点間違いなしだし。 いっそのこと、腱鞘炎ずっと治らなきゃいいのに。 ……なんて、鬼畜? あはは」  わたしは廊下に立ち止まり、床の継ぎ目を見つめながらその笑い声を聞いていた。  声の主が誰なのかは、すぐに分かった。美帆という、クラスでも一番目立つグループのリーダー的存在の女子だ。  華やかな美人だが少し性格がきつめで、クラス内には以前から、何となく彼 女の機嫌を窺うかがわなくてはならないような空気があった。 「やめなよ、そういうこと言うの。 亜優ちゃんだって一生懸命練習したから腱鞘炎になったんでしょ。 かわいそうだよ」 「そうだよ」  その声を聞き、いつも美帆と一緒にいるクラスメイト二人の顔が浮かんだ。
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