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わたしたちがやっと家の近くに辿り着いた時、時計の針は八時半過ぎを指していた。
いつもの橋の前で拓己と別れ、二人で自転車を押しながら坂道を登っていると、
「俺の言った通りになったよ」
俊輔が坂の上を見上げながら言った。
「言った通りって?」
「拓己がさ。次の大きい大会の予選で、ベンチ入りすることになりそうなんだ。
まだ決定じゃないけど、このままいけば間違いなく」
「……すごい……」
「すげえよ、マジで。
まさかこんなに早く入るとは俺も思ってなかったからさ。
やっぱ、あいつのセンスは格が違うんだよ」
俊輔は、自分の事のように得意げに言った。
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