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「どうしたの。何かあった?」 「いや、……」  少し迷うような素振りを見せ、俊輔は口をつぐんだ。珍しい事なので、わたしは戸惑いながらその顔を見つめていた。  しばらく沈黙が続き、俊輔はこめかみのあたりをガシガシッと掻いてから口を開いた。 「あいつ、……拓己のやつ、なんで嬉しそうな顔、しないんだろうな」 「……」 「補欠の先輩たちの手前、発表されたその場ではしゃいだりできないっていうのは分かるけどさ。  二人きりになってから、こっちがおめでとうって言ってんのに、面白くもなさそうな顔しちゃって。 ……まあ、むかついたから俺のファンタスティックこちょこちょで撃沈してやったけど」 「それは……」  わたしは首を傾げながら少し考えて、 「拓己は、俊輔と一緒にチーム入りしたかったんじゃないかな。 だから、俊輔もベンチに入れた時に一緒に喜び合いたいって、そう思ってるんだよきっと」 「……」  俊輔はわたしの言葉を聞き、難しい顔で黙ってしまった。
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