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「─はい」
顔を上げると、拓己がわたしたち二人にそれぞれミネラルウォーターを差し出していた。
「ありがとう……」
「ありがと……」
キャップを開け、すぐに口をつける。
冷たい水が口腔を満たし、喉を通り、体の芯を通過していくのを感じた。
ツマミで調整されるかのように、ゆっくりと汗が引いていく。
少し余裕が出て周りを見渡すと、ここが丘陵地に建つ住宅街であることが分かった。
すぐ傍には小さな公園があり、その入り口に自動販売機が立っている。
「……あれっ?」
突然、日南子が声を上げ、立ち上がって周りをきょろきょろ見回した。
「ここ、知ってる」
「え」
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