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トトト、と公園の方に進み、その先の道を指差して、
「この先の坂を右に下ってずーっと真っ直ぐ行ったら、うちの近所に出ると思う」
「……ホント?」
「ホント。……え、すごい。なんで? ワープしたみたい」
日南子は疲れを忘れたかのように興奮し、ぴょこんと跳び上がった。
「─だから言っただろ? 魔法の道だって」
振り向くと、登って来た階段の脇にあるフェンスに寄りかかり、俊輔が得意げに腕を組んでいた。
その隣には、フェンスの向こうを眺める拓己の背中がある。
「地元の子どもなめんなよ? 小さい頃から自転車でどこにでも行ってたからな、俺たちは。
もはや知らない道なんてないんだよ」
「やるじゃん、和久井。無駄にカッコいい」
「無駄にとか言うな」
俊輔はつけ麺屋さんのポーズでそう言うと、さらに自分の背後に向かってビシッと親指を立ててみせた。
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