第1話

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そんな風にも考えてみたけれど。 ずっと透を想って過ごしてきた日々に、透は私をどれだけ想ってくれたのだろう。 あの人と過ごす時間の片手間。 暇な時の相手、これからもずっと? あの日のあの2人の笑顔に、私の入り込める隙はあるの? メール一つで約束をなしにしてしまう透に、クリスマスイブの特別な日をいきなりキャンセルされた私がどう思うのかがどうでもいい位簡単に考えられる透をただ待って、待ち続けて、その先に、私の望む答えはあるの? そんな答え、望む事すら許されない? イブの夜。 想像なんてしたくない。 どう過ごしているのかなんて、考えたくもない。 なのに、私が1人でいるこの時間に、透は笑顔であの人と過ごして… 2人は… 浮かんでは頭を振って、振り払って、それでも浮かぶ2人の姿。 これからずっとこの痛みを引き摺って過ごすのか、これから先もずっと… 頑張る頑張らないじゃない、もう、答えは出ていた。 この劣等感、敗北感、喪失感、全てのどす黒い感情を心に住まわせていくことは、逃げられない闇に突き進んでしまう事は… したくない。
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