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いつもの時間、はとうに過ぎた。
降り積もる雪。
静かな時間。
時計の音だけが、いつもと同じ音を刻んでいる。
やっぱり雪のせいで、帰りが遅くなるんだね。
それともまさか、急にあの人から連絡あって、行ってしまったとか?
連絡もなしに?
さすがにそれはないだろう、そう思うのに、頭から不安が消えてくれない。
いくらなんでも、透はそこまで酷い仕打ちをしないだろう。
せめて連絡は入れてくれるはずだ。
昨日と同じように。
だからきっと違う。
遅いのは、雪のせい。
そう……
その時、私の携帯が鳴った。
メールではない、通話着信音。
しかもそれは透からの着信に指定してある曲で。
喜びよりも先に大きな動揺が襲う。
まさか、まさかだよね。
ここにきてキャンセルなんて、ないよね?
体が動かない。
目は携帯の入ったバッグを凝視したまま。
出たくない。
出たら、終わってしまう。
でも、出なきゃ。
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