第1話

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いつもの時間、はとうに過ぎた。 降り積もる雪。 静かな時間。 時計の音だけが、いつもと同じ音を刻んでいる。 やっぱり雪のせいで、帰りが遅くなるんだね。 それともまさか、急にあの人から連絡あって、行ってしまったとか? 連絡もなしに? さすがにそれはないだろう、そう思うのに、頭から不安が消えてくれない。 いくらなんでも、透はそこまで酷い仕打ちをしないだろう。 せめて連絡は入れてくれるはずだ。 昨日と同じように。 だからきっと違う。 遅いのは、雪のせい。 そう…… その時、私の携帯が鳴った。 メールではない、通話着信音。 しかもそれは透からの着信に指定してある曲で。 喜びよりも先に大きな動揺が襲う。 まさか、まさかだよね。 ここにきてキャンセルなんて、ないよね? 体が動かない。 目は携帯の入ったバッグを凝視したまま。 出たくない。 出たら、終わってしまう。 でも、出なきゃ。
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