第1話

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意を決して、震える手で携帯を取った。 途端に。 「沙那ちゃんね!?透が事故で運ばれたの。東山総合病院に来て。」 女性の声だった。 透が、事故? え? 何? あまりにも咄嗟で、頭がついていかなくて。 何も返事ができなかった。 力なく落としてしまった携帯からは変わらず女性の声が聞こえる。 何を言っているかは分からないけど、必死に話してるだろうその声が、私を我に返らせた。 そうだ、病院だ。 行かなくちゃ! 携帯を持ち直して答えた。 「東山総合病院ですね。すぐ行きます。」 「あ、良かった。何も返事がないから、どうしようかと思ったわ。沙那ちゃん、雪が凄いから、自分で運転しちゃ駄目よ。タクシー呼んで」 「でも…」 「これで沙那ちゃんに何かあったら、私が透に叱られるわ。それだけは守ってね。じゃあ、切るね」 そう言って、私の返事も待たずに通話は切れてしまった。 タクシー? 直ぐにでも向かいたかった。 タクシーを待つ時間なんて、いらない。 私は迷う事なく、車に乗りこんでエンジンをかける。 病院へ。
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