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意を決して、震える手で携帯を取った。
途端に。
「沙那ちゃんね!?透が事故で運ばれたの。東山総合病院に来て。」
女性の声だった。
透が、事故?
え?
何?
あまりにも咄嗟で、頭がついていかなくて。
何も返事ができなかった。
力なく落としてしまった携帯からは変わらず女性の声が聞こえる。
何を言っているかは分からないけど、必死に話してるだろうその声が、私を我に返らせた。
そうだ、病院だ。
行かなくちゃ!
携帯を持ち直して答えた。
「東山総合病院ですね。すぐ行きます。」
「あ、良かった。何も返事がないから、どうしようかと思ったわ。沙那ちゃん、雪が凄いから、自分で運転しちゃ駄目よ。タクシー呼んで」
「でも…」
「これで沙那ちゃんに何かあったら、私が透に叱られるわ。それだけは守ってね。じゃあ、切るね」
そう言って、私の返事も待たずに通話は切れてしまった。
タクシー?
直ぐにでも向かいたかった。
タクシーを待つ時間なんて、いらない。
私は迷う事なく、車に乗りこんでエンジンをかける。
病院へ。
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