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着いた病院の入り口に立っていたのは、あの日のあの女性だった。
その姿を見て、さっきの電話の人がこの人だったのかな?と、私に迷いが生じる。
なんで、この人が私に電話なんて?
けれど目の前の女性は私を見るなり安堵の表情を浮かべ、私の元へと歩みを進めた。
「ああ、沙那ちゃん、来てくれてありがとう。こっちよ」
そう言って踵を返し、院内へと向かう。
声でさっきの電話と同一人物だって分かった。
なんで私はこの人から電話をもらったの?
沙那ちゃん、なんて名前なんで知ってるの?
何より、透、透はどうしてるの?
聞きたい事がたくさんありすぎたけど、彼女の足が早くて、まずは後をついていった。
彼女は歩きながら私が聞きたい事を話してくれた。
「透、骨折は酷いけど、内臓損傷とかは全くないって。脳も異常ないから気がつけば大丈夫って言われてるわ」
「言われてるって?まさか…」
「そうまだ気がつかないの。だから、沙那ちゃんが透の事呼んでくれたら、透も目が覚めるかな?って思って」
「そんな…それなら私より貴女の方が透は喜ぶんじゃ…」
暇つぶし相手の私より、本命の貴女の方が…
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