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透。
私は透の眠る傍らに立ち、透を見下ろした。
その傷だらけの顔を見ながら、震える自分に気がつく。
唇を強く噛んで、その震えを止めようとしても、大きく肩を揺らす震えは止まってなんかくれなかった。
落ち着こうと透の手を取ろうとしたのに、包帯だらけになっているその腕に気がついて、より一層動揺が酷くなる。
床に膝立ちになって、透の耳元に顔を寄せる。
静かな透の息遣い。
ぎゅっと目を閉じた。
透、早く目を覚まして。
「透、私ね、物凄い勘違いしてて、それは勘違いだってわかったけど、でも、まだ貴方に聞きたい事いっぱいあるの。だから、透、早く気づいてよ」
何も反応はない。
「透、お願いだから、目を覚まして。クリスマスだから、ご馳走作ったよ。ケーキも透の好きなチョコにしたよ。ね、透、帰って食べようよ」
今、目が覚めてもそんなの無理だって分かってるけど、でも、言わずにはいられなかった。
馬鹿な事でも透が目覚めてくれるなら、なんでもいい。
透、起きてよ。
「透、早く起きてくれないと、他に好きな人作っちゃうから…透…それでもいいの?」
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