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結局、透は1ヶ月の入院となった。
すっかり目覚めた透に、今回の私の勘違いを伝えたら。
大笑い、された。
そして、イブの日に会社に車がなかった事を話して、それはどうして?と聞くと、透は下を向いて、怒られて拗ねてる子供のような顔をした。
「かっこ悪いから言いたくないんだけど…」
「なにが?」
勿論、私は有耶無耶にしたくなかったので、聞いた。
「あんまり言いたくないんだけど…」
「じゃあ、やっぱりイブの日は他の人と…」
私が下を向いて始めた泣き真似に、透はアタフタ始めた。
「分かったよ、沙那が見事な勘違いした姉貴と入ったお店で、俺が何を買ったかは知ってるよな」
うん、だってそれは今、私の左手の薬指で光ってる。
「その内側にアルファベット入ってるだろ?それを俺、逆に伝えちゃって、一度仕上がって受け取りに行った時に店員さんとのやり取りでわかってさ、直して貰うのに時間がギリギリで…でも、間に合うはずだったのに…」
だったのに?
「今度は向こうの発注ミスで出来上がってるけど届かないってなってさ、イブの日に、取りに行った。どうしてもクリスマスまでに渡したかったから…」
「それなら、仕事なんて、嘘つかないで言ってくれれば良かったのに」
「ちゃんと話すとかっこ悪いだろ、かっこつけたかったの、俺は。驚かせたかったし。それに、沙那がそんな変な誤解してるなんて思ってもいなかったしさ」
お互いに顔を見て、ちょっとだけ睨み合い、どちらからともなく、吹き出す。
「やめよっか、このまま言い合いになってもしょうがないし」
「そうだな」
「あ!でも、もう一つ聞きたい」
透は、少しだけ眉を寄せた。
「どうして、どこにも出掛けなかったの?」
「それは……、それにしても最後のクリスマスがとんでもないクリスマスになっちゃったよな」
「最後のクリスマス?」
突然の透の言葉に、驚く。
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