喧嘩

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「これだから、男は嫌なのよ………」 そう嘆いた若菜が行き着いたのは、若菜達三人の昔のたまり場であった空地だ。 小学生の頃まで使用していたのだが、最近は三人揃うことが少なくなったので、立ち寄ることすらなかった。 殺風景な荒れ地の中に、真新しい看板が立ててある。 近付いてみると、『◯×工場建設予定地』と書かれていた。 そうか、この場所はなくなるのか。 若菜はふと、寂しさを感じた。 こんな風にだんだんと、竜貴や清満と離れていくのだろうか。 ―辛いの? 若菜は、はっとした。 どこからか、少年の声がしたからだ。 ―寂しいのなら、こちらにおいで。 「誰!?」 ―おいで。こちらにおいで。そうしたら僕が誰だか教えてあける。 「…………」 若菜は一歩一歩、空地の中央に歩み寄る。 なぜだか、声がそこからした気がするからだ。 少し歩いたところで、若菜の姿が地上から消えた。 ―ありがとう。こちらに来てくれてありがとう。 少年の歓喜な声は、誰にも届かない。
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